学生アスリートの皆さんへ

自分の好きな競技に思う存分向き合うことが出来る最高のひととき「学生アスリート」。多くの皆さんが「昨日の自分」を乗り越えていくため日々努力を積み重ねていることでしょう。この最高の時間は本当に「ひととき」。小学校6年間、中学校3年間、高校3年間。大学4年間はほとんど肉体的には社会人と変わりませんからここでは高校生までの学生アスリートの皆さんに向けて少しだけお話しさせていただきます。

今やっている練習は何のためにやっているの?

これをちゃんと意識して過ごす365日と何となく過ごす365日。時間が経過して振り返った時には間違いなく大きな差になっています。この事は「人に言われた時には誰でもわかる」当たり前のことなのですが、実際に行動として出来ていない選手は多いですね。(「知識」を「実践」に移せるかどうかというところに一つのハードルがある事を示す好例です。「知識は実践につなげてこそ力を発揮する」これはこれからの人生のあらゆる場面で体験することになるでしょう。)この部分が意識できているかどうかで今の練習があなたの身になるかならないかが大きく変わります。強い選手は例外なくここに対する意識を外しません。だから自分にとって必要性の低い練習だと判断した場合は上手に手を抜いたりすることが出来るのです。結構手を抜いている選手が、言われた通り真面目に何でも全力でやっている選手より上手くなっていくというのを目の当たりにすることがあるでしょう。これは自分の能力を伸ばすことの出来る練習が明確に見えているかどうかの差が顕在化しているだけです。自分の能力を伸ばす練習に対して尋常ならざる集中力を持って取り組むことが出来る選手。強くなるに決まっていますよね。どうでもいい練習で疲れ果てて本当に必要な練習の時にはバテている。これでは強くなりません。どれが大切な練習かもわかっていなければ、「何で俺はこんなに一生懸命やっているのに成長しないんだ…」ということになる。やるべき時に集中していないのだから、強くならないのは当たり前なのです。また、練習メニュー自体は非常に優れているのに選手の理解度が低すぎてレベルアップにつながっていないという残念なケースもありますね。どちらにしても選手の「考える」という能力の欠場に原因があります。優秀な指導者は総じて選手が手を抜こうと思う余地すらないメニューを構築し、提供することが出来るもの。プロスポーツの現場ではそのような指導者が活躍されていて、そのような指導者のいるチームは必ず強い。限られた練習時間の中でエネルギーの配分を的確にするためには、何が最重要なのかをちゃんと理解しておく必要があります。ちゃんと考えて練習に臨んでいますか。

土台づくりの意識がちゃんとありますか?

身体がどんどん成長していく学生アスリートの皆さんで自分の身体の大きさを意識しない選手はいないでしょう。身長がどれだけ伸びるかな…体重はどれだけ増えるかな…周りの選手は大きくなっているのに何で自分は大きくならないのかな…こんな悩みが尽きないのが「学生アスリート」の特徴でしょう。この年代の特徴はズバリ「根本的な身体の成長」です。ボディビルダーなどを見てもわかるように大人になっても筋肉を強く、大きくすることは出来ます。しかし、骨格、神経、内臓などの生涯にわたる土台の部分は「育ち盛りの時にどのような環境を身体に与えるか」で強固になるか、脆弱になるかが決まってしまいます。それほど「学生アスリート」という時代は大切な時期なのです。ただ単に大きくなりたいだけなら品質の低いプロテインパウダーを飲みまくってジャンクフードばかり「タンパク質だ!」と言いながら口にしていれば嫌でも「太っちょ」が出来上がります。「マッチョ」ではないですね。ただの「太っちょ」です。

品質の悪い食品は内臓を疲弊させ、本来身体にとって必要な回復力を著しく低下させます。この時期に回復力が低下するということは強固な土台は作られにくいということです。

どんなトレーニングが必要なの?どんな栄養が必要なの?

では強固な土台を作るために何が必要なのかを具体的に考えていくと結局「運動(トレーニング)・栄養・休養」の3本柱になるのですね。当院が開院以来最重要視している3本柱です。生涯にわたりこの3本柱の重要性は揺らぐことはありませんが、特に土台づくりの活発な年代での重要性は計り知れないと言っても良いほどです。では具体的に何が大切なのかといいう事をここで書き始めるとものすごいページ数になってしまうのでここでは書きません。最もお伝えしたいのは「ちゃんと学ぶ」という事を大切にしてほしいという事です。ゴールに向かう旅という競争をする場合に地図の有無はそれだけで勝負を決するほどの大きな意味を持ちます。その地図が「学びによる知識・経験」・「実践に基づいた知識・経験」です。まずゴールを見定め、「地図」を手に入れ、それを持って365日進み続ける。「才能」の勝負はこれが出来てからです。誰でも出来る事をやらずして「才能」を言い訳にしていませんか。それはとてももったいない事ですよ。