先生、なんで「気」じゃなくて「氣」なの?という質問がよくあります。その質問には直接お答えするとして・・・

漢字の語源を知る。これは非常に大切な事だと私は感じています。この世の中は様々な「カタチ」で出来ていますが、そのカタチを感じているのは「目」という感覚器を通した視覚だけではありません。「肌もカタチを感じている」というのは当院で実際にワークを通して実感していただく事があります。3次元立体ではなく2次元平面のカタチでも同様です。写真に示したこの書籍。「白川静博士の漢字の世界へ」これは福井県の教育委員会が編集し発行しています。福井県が全国学力テストでいつも上位を保っている理由がよくわかります。学校の先生に言われた漢字を興味もなくただ覚えるのと、漢字自体の成り立ちの様々な背景まで興味を持って学んでいくのでは身につき方に大きな差が出るのは当然。学生の興味を喚起するという意味ではこの教材は非常に優秀であると感じます。漢字は人間が使うものです。どのような意識で使うのか。同じ音を表現するのにも、形の違うものを選んで使っている日常を考えれば「カタチ」にそれぞれ意味があることは明白。それをちゃんとわかって使用している者となんとなく使用している者とでは脳の発達に差が出てくるのは当然と言って良いでしょう。せっかく良い教材が世に出ているわけですから、使用しない手はないと思います。「出来上がったカタチを覚えること」と「出来上がる過程まで覚えること」。この差がどれほど大きいか。全国学力テストの結果は偶然ではないと思います。全国学力テストのことで余談ですが、「核家族世帯」ではなく「大家族世帯」の割合が高い県は優秀な成績を収める傾向にあるようです。知恵に溢れた高齢者と過ごす習慣がある者とない者の差。これも年齢を重ねれば重ねるほど顕著に開いてくるのは自明のことですね。言葉は経験を伝えます。経験者の言葉は重いのです。「生き字引」という言葉もあるくらいですから、高齢者の方は痴呆になっている場合ではないのです。文字も同様です。動物が人間のように道具を開発できないのは、文字を持たず、世代を超えた情報伝達が出来ないからです。各世代がそれぞれの役割を果たし、それを次の世代が継承し磨き上げることで発展してきた人間社会に生きる我々を省みて、最近の状態は人間として進化しているというよりは動物に戻って行っているのではないかと不安を覚えるのは私だけでしょうか。写真に記した「民」の文字については、より詳しくは直接お話しいたします。日本人なら「日本国民」と「日本人」は全く意味が違うということだけは認識しておく必要がありますよ。この意味の違いに氣がつくだけで、物事の見え方が変わってくる人もいるでしょう。漢字は奥が深い。全てを学ぶことは人生の時間が足りませんが、「漢字とはどういうものなのか」ということくらいは次世代の方々にお伝えできるようになりたいですね。我が国の文字ですから。命ある限り学びましょう。次世代に伝えながら。