本日は股関節の症状をどうにかするために通われているCさんが来院されました。「日によって痛みが強く出たり、治まっていたり…痛みが強く出る時は手術をしたほうがいいのかなぁ~と思うんよ。」と正直に胸の内を話して下さいました。本当に有難いです。
ご自身の症状を何とかしようとして当院にトレーニングに通われている方は比較的重症な方が多いように感じます。ほとんどの方が『常識で考えたら無理って言われました。』と言って来院されます。
『常識で考えたら無理って言われました。』を何とかするために行うトレーニングですから、その中には「常識」とは言えないトレーニングが含まれることもあるでしょう。もちろん、ただ闇雲にスパルタ式トレーニングで高強度運動をしていただくような無謀な事をしていただくわけではありません。「その症状を何とかするために、いま考えられる最善のトレーニング」これを行っていく。その中で必要とあれば「きつい」トレーニングも含まれる可能性は十分あるという事です。当然、「なぜ、このトレーニングを行うのか」という質問に対しては運動学・解剖学・生理学などに基づきすべてお答え出来るメニュー設定をさせていただきます。ただ・・・
〇どんなトレーニングメニューもすぐに望んだ結果につながる訳ではない。
〇やってみなければわからない。
これは、どうしようもない事実としてすべての患者さんの前に横たわる現実です。
ものすごく簡単に表現すると「どんなにきついトレーニングをしても、望んだタイミングで、望んだ結果が出るとは限らない。」という事です。もっと簡単に表現すると「未来はわからない。」という事です。
当院が『常識で考えたら無理って言われました。』という患者さんのトレーニングを『まあ、やってみましょう!』と受け入れさせていただくのは『無理じゃないかもしれない。』と感じる場合に限ります。もちろんそれが正しいかどうかなんて全く分かりません。
でも『無理じゃないかもしれない。』と私が感じる根拠は『当院における前例に基づいて』という部分です。『過去に似たような症状の患者さんが何とかなった事がある。』ならば、『まあ、やってみましょう!』というスタイルです。
このような目的のトレーニングの際は極力、患者さんが今、どのように感じているかをお聞きしながらトレーニングを進めていきます。なぜなら、『私には全く患者さんの痛みがわからないから』です。どれだけ痛いのか、見当もつきません。このような者が「この症状を何とかしたい。」と思われている患者さんに対して、自分自身の知識・経験を総動員してトレーニングメニューを提案し、実行していただく。当然、きついトレーニングもあるでしょう。クソ鬼軍曹にも見えるでしょう。『本当になんとかなるのかよ。』こんな疑念も湧くでしょう。当たり前です。『自分の痛みは絶対に他人にはわからない。』こんな事は誰でもわかってるからです。「あなたの辛さはわかりますよ。」と口で言われても、『わかる訳がない。』というのが患者さん自身にはわかっているんです。これが大前提。この前提を踏まえて・・・
『どうなりたいんですか?』
これを問いかけるしか私には出来ないんです。無力なんです。
『常識で考えたら無理って言われました。』・・・『でも、何とかしたいんです。』
このお言葉に全力で応える。そのような行動をする。それだけです。患者さんにとって「きつい」トレーニングが必要だと私が判断した場合はちゃんとお話しさせていただいた上で、それを実行していただきます。いつ、どんなタイミングでどんな変化が出るか。これは本当にわからないとしか言いようが無い。ただ、この方法しかあなたの求める結果につながる可能性が無いのであれば、それを提案するしかないのです。そして、やってみるしかないのです。
患者さんの痛みそのものはわかりませんが、日常生活において様々な辛い状況があるのは理解しているつもりです。その状況が少しでも何とかなる可能性があるのであれば、私が何をどのように考え『これが必要だ』と言っているのかをお伝えした上で、様々な提案をさせていただきます。結果が出ないのであれば、私の実力不足でしょう。少なくとも私は『何とかなる可能性』しか眼中にはありません。「あなたには任せられない。」と言われるまで、このスタイルは変わらないでしょう。
今日は本当に不思議な一日です。
本日は朝のトレーニングでAさんとBさんがトレーニングで久々に一緒になりました。Aさんは以前、股関節の状態が悪く、その症状をどうにかするために当院のトレーニングに通われていた方で、現在も定期的に通われています。Bさんも定期的にトレーニングに来院されている方です。
Bさん「お久しぶりです!何だか印象がものすごく変わりましたね!すごく動けてるし!」
Aさん「そう見える?」
Bさん「見えますよ!股関節は大丈夫なんですか?」
Aさん「うん、大丈夫なんよ。動く範囲はまだまだ完璧とは言えないんだけど、もう痛みは無いからねぇ。」
Bさん「すごいですねぇ。失礼かもしれないですけど『痛い、痛い』って言ってるイメージが強すぎて・・・」
Aさん「そうよね。(笑)でも、もう痛みはないの。今は体力を落としたくないから通ってるの。」
Bさん「へ~、すごい。」
当院のトレーニングはどなたと一緒になるか分かりません。お友達同士で来院される場合はお友達同士でトレーニングをしていただくことになりますが、お一人でご予約された場合は、その後に誰かが予約されるとその方と一緒にトレーニングをしていただきます。
このようなシステムでやっているので数年ぶりの「お久しぶりです!」という事がたまに起こります。
こんな時に、Aさんのような『ある患者さんの常識外れ』な経験が、他の患者さんを勇氣付けたり、様々な刺激になる。これが当院の良いところだと私は感じています。ある患者さんが「乗り越えた」という事実は貴重なんです。
午後にはDさんもEさんと一緒にトレーニングで来院されました。
このDさんも「乗り越えた」経験を持っている方です。
Dさん「最初から『常識的には無理』って言われてた状況だから、正直何とかなるとは思えてませんでしたよ。最初は。でも、何とかするしかない状況だから自分の中の小さな変化を少しずつ見つけながら頑張りました。痛かったですよ。ホントになんとかなるのかなって思ってましたよ。でも何とかするしかないから頑張りました。」
院長「私もここまで何とかなるとは思えてませんでしたから・・・一応『常識的には無理』って事は、患者さんよりもよくわかってるつもりですから。常識をある程度勉強してるんで。でも、何とかするしかないでしょ。Dさん、目の前にいらっしゃるんで(笑)。全力ですよ。全くどうにもならなければもうボロクソいわれますからね。「非常識」にはあまり手を出さない方がいいですね。」
Dさん「もう普通に生活出来ますからね(笑)。今日も、鉄棒にぶら下がってトレーニングしてたら脇腹の突っ張りが取れてることに氣がついたの。もう、何年もトレーニングしてるのに、まだまだ身体って進化してくれてるのよね。」
Eさん「Dさんのこういう所が凄いですよね。見習わないと(笑)。」
院長「ホントにそう思います。ちゃんと自分の身体に目を向ける。これが本当に大切なんです。生きている限り新しい細胞は生まれ続けている。それは間違いのない事実ですから。」
今日も有難い良い一日でした。